考察・感想倉庫

好きな作品の考察や感想をゆるーっとまとめていきます。たまにレポもあり。

2018/10/06 18:00 舞台「七色いんこ」感想

おひさしぶりです。最近めっきり更新できていませんが、七色いんこの舞台観て来たのでその感想をあげておこうと思います!例によって舞台も漫画もネタバレがすごいので、ご注意をば。

手塚作品の中いっちばん大好きな「七色いんこ」。
ざっくり紹介するとどんな役でもこなしてしまう天才泥棒代役者・七色いんことスケバン女刑事・千里万里子の演劇ラブコメ(時々犬の玉サブローも大活躍するよ)っていう感じの話です。
有名な劇作品をモチーフにした、演劇好きな手塚先生ならではの作品でありつつ晩年の作品なので結構軽いノリで読める、というのと、めちゃくちゃラブコメしているというのと打ち切り多い先生の作品の中でちゃんと完結しているというのが好きなポイント。(近いテンションのブッキラによろしく!は打ち切り投げっぱなし)


で、その普段ほとんど動きのない七色いんこが舞台化とのことで、飛びついていってきました。
乃木坂・けやき坂の子がメインと聞いてチケット争奪戦に慄いていたところ、乃木坂ファンクラブに入っている先輩がチケットとるよというありがたいお声をかけてくださり観て参りました!!!

最初情報をみたときは、七色いんこ舞台化に喜びつつ「天才役者をアイドルの子が演じきれるの…?」「アイドルファンにむけたコンテンツとして原作がどうこうというのはなく消費されてしまうの…?」「なぜおっさんも沢山出てくるこの話を全員女性だけでやってみようと思ったのか」という(ファンの先輩にとってもらいながらめちゃくちゃ失礼な)????がいっぱいあり、正直抑えでみておくか…くらいの気持ちでした。
なのでろくに下調べもせず、とりあえず動く純奈さんはとてもかわいいぞという前知識くらいで行きました。


2018/10/06 18時からの回@AiiA 2.5 Theater
男女比は8:2くらい? ほぼ満席
年齢層は20〜30代中心、でもすごいおばあちゃんとかもいてびっくりした


……結論から言うと、想像していた5億倍くらい面白かったです。


七色いんこをどう舞台に落とし込むのかが結構気になっていたのですが、
パンフ?リーフ?に朝霞とかモモ子役の方の名前があり、これは終幕まで駆け抜けるのか…と衝撃を受け、さらに脚本家の方が原作の好きな回を挙げていらして謎の信頼を覚えつつ、えっ歌って踊るの???でもまあいんこは踊れと言われたら踊るな…などと思いつつ、開演。

以下、記憶がふわふわしているので箇条書きで…。

・土方役の方がまんま土方という衝撃。開始5秒で演者女性のみということはどうでも良くなる
ハムレットの曲は最初はなんか照れちゃったけど、めちゃくちゃスルメ曲で今も頭を流れている…とぅーびあなっとぅーびー
・いんこがめちゃくちゃかっこいい!!!純奈さんを舐めていた…ハムレット役として鍬潟に舞台から詰め寄るところの目力がすごかった…。
・刑事さんの動きが、本当にまんま千里万里子でビビった 足が、足が完全に千里万里子 漫画から飛び出して来ていた…きゃぴきゃぴ加減も完全に刑事さん
・鍬潟役の方も演じている方は美人なのに、もうあの漫画のブルドック顔が浮かんで離れないという豪胆な演技で…。あとで元宝塚の方だと知って納得
・ヨーコさんはめちゃくちゃ美人だし、あそこで歌われていた方の歌は最高だった。なぜサントラがないのか
・服がいっぱいかかっていて、そこから着替えていく演出?がとってもかっこよかった…小劇場だと背景1個とかのがほとんどだけど、あの7個の四角の枠が動くことでぐっと奥行きがでていて…複数場面を一緒にやったりするあのテンポの良さ
・あとあの服が全部落ちるシーンはぞくっとした
・話の流れはハムレット→青い鳥→終幕という、ザ・鍬潟陽介の一生みたいな構成。
・青い鳥は車からアンドロイドになってたのかな?ハンガーにハンドルかかっていたから車出てくるのかと思ったらそんなことはなかった
・何が一番驚いたって、まさかの終幕をほぼ完全再現したところ…あそこまで徹底的にやるとは思わなかった あそこまで完璧に終幕観られると思わないじゃん!?!?原作ファンは絶対に観た方がいい…。逆に原作未読者置いてけぼりにしてなかったか不安だったのだけど、一緒に行った先輩は話は掴めたとのことだったのでよかった
・陽介の演技が本当に胸にささる…だってもう本当に陽介くんだった
・最初の気の弱い陽介も、芝居に夢中になる陽介も、モモ子と出会って青春を謳歌する陽介も、トミーと出会って変わる陽介も、全部陽介くんだった
・いんこと時折シンクロしているのがまた良かった
・10列目くらいに座ってたんですけど、途中で陽介くん、トミー、いんこ、万里子が舞台から客席の方に来た時は本当にドキドキした…
・モモ子は本当に可愛かった 好み
・トミーはめっちゃかっこよかった 最初なんで喫茶店でいんこはコーラ飲んでんのかなと思ってたけど… コーラ振るトミーといんこ、かわいい
・ヤングBJにも出てるしトミー最近扱いがとても手厚い
・原作の終幕、いんこというか陽介くんが無理やりモモ子の記憶を取り戻させようとしてきて、刑事さんもモモ子だったことを思い出してからは(当然だけど)モモ子になってしまって、今まで読んで来た千里万里子の存在を大否定されているようでちょっと悲しくなるシーンでもあるのだけど、今回の舞台では原作で出てくる演劇作品の名前をお互いに言い合って歩み寄っていという演出で、その辺のスパンと切り替わっちゃう感じが歩み寄りに変わっていたのが、個人的にとても良かった…。
・原作好きとしてもガラスの動物園とかじゃじゃ馬ならしとか三文オペラの名前が出てくるのは嬉しいところ
・ラスト鍬潟相手に一人芝居をするところで、七色の枠が一つになるのすごくかっこよかった…
・羽にまみれるいんこ…ほんと絶対死ぬんだなって感じだけど死なないでほしいし死んでないと思っている 復讐を遂げた七色いんこは死んで、役者鍬潟陽介が復活すると思ってるから…
・千里警部のあの子にはもうなにも失って欲しくないんだ〜っていうセリフに胸を打たれる いんこ(陽介くん・男谷マモル)と刑事さん(モモ子)の二人のことはもちろん大好きだけど、万里子パパが何だかんだいちばん万里子の幸せを考えてくれていると思うんですよね 好き


なんだか散文的感想になってしまいましたが、全てにおいて原作への愛が感じられて本当に最高の舞台でした…!やっぱり七色いんこは舞台がいいね…アニメ化はそれはそれでめちゃくちゃ待っていますが…!!!

あと、グッズがメイン2人のポストカードとポスターだけというのが勿体なさすぎる…!本当に、演出も脚本も歌も演技も良すぎて、皆さんの思いが詰まったパンフを読みたかった…!主演2人のお話ももっともっと掘り下げて欲しかった!(推しのグッズが出るのは貴重では?と思ってポストカードは買った)

本当に観る前全然期待していなかった自分を殴ってやりたいけど、ちゃんと観に行こうと思って観に行った自分は褒めてあげたい
原作ファンの方はまだ間に合うはずなので是非観に行ってください
私からは以上です…。